【メンタージャム東京のご報告】
2013年9月 「士業による海外進出の課題と可能性」～講師　柿本　謙二 氏

　9月19日(木)、東京・麹町会館にて「メンタージャム東京」を開催いたしました。今回は、メンター会員で公認会計士・税理士の柿本 謙二氏を講師にお迎えし、～カンボジアに出てみて初めてわかったこと～「士業による海外進出の課題と可能性」と題してご講演いただきました。

　講演は、講師の自己紹介とカンボジアという国の紹介から始まりました。カンボジアの特徴としては、国民の平均年齢が23歳と非常に若く、今後、経済成長が見込める国であるということや相続税がないこと、誰でもが代理人になれてしまうことなどについてお話しいただきました。その中で柿本氏がカンボジアという国を選んだ理由というのは「証券取引所ができたこと」「経済が成長していること」「日本人を歓迎してくれること」「日本企業が増えていること」「現地の言葉でなくても英語が通用すること」などとご説明いただきました。ただ「経済が成長している」ということはデメリットになることもあるとのこと。例えば、従業員は賃金などの条件のよい会社があるとすぐに辞めてしまう。突然、次の日から来なくなることもあれば、集団で他に移ってしまうこともあるということです。中国などでも聞いたことがある話です。

　また、そもそも柿本氏が海外に出た理由については、自分には15年周期で新しいことを始めるところがあり、30歳の時に監査法人を辞めて独立し、45歳の時にカンボジアに出た。どちらも自分の中でこのままではだめという思いがあったとのこと。そこが共通しているそうです。ただ当初は3人のメンバーでカンボジア進出を考えていたが、これからという時に他の2名は日本での仕事が忙しいということを理由として現地事務所の経営からは離脱、結果単身での事務所運営を考えざるを得なくなった。その前後して知り合ったプノンペンで開業している韓国人と意気投合し、その方の事務所に日本企業向けのサポートデスクを開設するということで開業にこぎ着けた。このパートナーとの出会いが大きかったそうです。

　カンボジアで徐々にクライアントが増えている柿本氏ですが、ご自身がカンボジアの日本企業に選ばれる理由としては「自分が日本人であるということ」「事務所の規模がある程度あり、スタッフも多いこと」「日本での実績」「日本にも事務所があること」だと分析されています。そして日本企業の特徴として、進出してくる前の事前調査が十分でないことが多い。そのせいで進出してから現地の社員が苦労している。国が違って制度が違えば日本の常識は通用しないことがなかなか理解されない。カンボジアでは日本で考えられないこところにお金がかかってしまう。例えば交際費は全額損金不算入。社宅も現物支給と見なされて日本にはないような課税がされてしまう。現地の担当者だけでなく日本の本社にもこの違いを説明することが重要だとして指摘されました。

　最後に柿本氏が感じてらっしゃる海外進出を成功させるポイントをあげていただきました。まず「日本と比較しないこと」だそうです。多くの方が日本の常識を持ち出して不平や不満を言っている。ここは日本じゃないのだからそんなことを持ち出しても意味がないことを理解して欲しい。また外国に来れば「日本人はその国では外国人でマイノリティであることを認識すること」「現地の宗教や政治に関心を持つこと」「稼ぐことよりも稼ぎ方が大事なこと」。その他に現地の協力者が絶対条件であることや周囲の理解と協力が必須であることも指摘されました。ご自身の経験では家族と従業員、そして日本のクライアントにも理解してもらったことが大きかったと言うことでした。
　そして、国民性や価値観が違う外国で仕事をうまくやり遂げようと思ったら「約束したことは守ってくれるだろうと思うのではなく、約束を守るという約束をすること。行政が動かないと文句を言っていても何も始まらない、動くように仕向けないといけない」と言われましたが、まったくその通りだと思いました。柿本さま、本日は貴重なお話をありがとうございました。

　第2部交流会は会場を麹町会館の3階「ガーネットの間」に移して、柿本氏によるご挨拶と乾杯でスタート。柿本氏のテーブルには講演の続きの話を聞くために多くの方が来ていました。メンター会員によるカンボジアツアーも実現するかもしれません。
　お忙しいなか、ご参加いただきましたみなさまありがとうございました。

　次回10月16日(水)開催の「メンタージャム東京」は、メンター会員で司法書士の勝 猛一氏を講師にお迎えし、～100万人超の潜在ニーズにどう応えるかII～『成年後見の実務ノウハウと活用事例』と題して開催いたします。 　みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

2013年10月16日(水)開催「メンタージャム東京」のご案内
～100万人超の潜在ニーズにどう応えるかII～
『成年後見の実務ノウハウと活用事例』

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