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【メンタージャム東京のご報告】
2013年3月 「MJ東京・平成25年度税制改正セミナー」~講師 木村 祐司 氏
3月19日(火)、東京・麹町会館にて、「メンタージャム東京」を開催いたしました。今回は、メンター会員で税理士の木村祐司氏を講師にお迎えし、~増税時代を乗り切るために何が必要か~「MJ東京・平成25年度税制改正セミナー」と題してご講演いただきました。
■木村 祐司 氏のご講演より
木村 祐司 氏
木村氏の講演は、政権交代により国の基本姿勢が格差是正から経済優先に変わってきているという前提の下、まずは国の財政状況の説明から始まりました。巨額の財政赤字を抱える日本国のキャッシュフローは最悪。国の場合、売上にあたるものは税収ですからこれを増やすための平成25年度税制改正の傾向としては、富裕層をターゲットとした増税となっています。
平成25年度から変わる税制
毎年改正される税制ですが、平成25年度から変わるものを説明いただきました。
1.消費税の免税点制度および平成26年4月消費税率の引き上げ
消費税率は平成26年4月から8%に引き上げられ、平成27年10月からは10%に引き上げられます。ただし資産の貸付けや役務提供等については、指定日の前日までの間に締結した契約に基づいて取引が行われたもので一定の要件に該当する場合には、旧税率を適用する経過措置が設けられています。なおここでいう“役務提供等”には、弁護士や税理士などの顧問契約は含まれないため、注意が必要とのことです。
2.特定役員退職手当等に係る退職所得の金額の計算
勤続年数5年以下の特定役員等に係る退職所得については、退職控除額を差し引いた後の残額に対し、現行の「2分の1課税」が適用されなくなります。
3.給与所得控除
平成25年1月1日から、給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については245万円の上限が設けられました。「収入が大きい人ほど増税になるので、経営者の報酬は個人の場合の税率と法人の場合の税率を考えながら検討する必要がある」と木村氏は注意を促します。
4.特定支出控除
木村氏いわく、「特定支出控除を使っている人は全国に20人もいない。非常に使い勝手が悪い」だそうです。今回の改正では弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費、勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費等)が特定支出に追加されるなど、使い勝手が改善されました。木村氏のシミュレーションによれば、単身者Aが平成25年中に、職務必要経費65万円、資格取得費35万円の合計100万円の特定支出を行ったケースでは、収入が低い方がより節税効果が大きいという結果になりました。
- 給与収入300万円の場合の節税効果・・・2.3万円
- 給与収入400万円の場合の節税効果・・・1.65万円
- 給与収入400万円の場合の節税効果・・・1万円
- 給与収入700万円の場合の節税効果・・・軽減なし
平成25年度税制改正(案)
続いて、平成25年度税制改正の案について説明いただきました。配布資料の1つである財務省の「平成25年度税制改正(案)のポイント」のパンフレットに掲載の「平成25年度の税制改正(内国税関係)による増減収見込額」について、何を基準にした金額なのかという疑問を持った木村氏は、財務省に問い合わせてみたそうです。残念ながら明確な回答は得られず、直前の数字を基準に比較したものとのこと。「初年度は2360億円の減収、完全実施後の平年度ベースでは1520億円の減収。財政赤字という状況にあって、税制改正しても税収が減るという見込み。果たしてこれでよいのだろうか」と疑問が残ります。
所得税関係で注意すべきは、住宅税制です。消費税率の引き上げ前後の駆け込み需要や反動が大きいことを踏まえて、住宅ローン減税等を拡充。消費税率引き上げ半年前の平成25年9月30日までに契約すれば、住居の引き渡しが26年4月以降にずれても、消費税は5%のままになります。ただし、この場合は26年4月以降に引き上げられる住宅ローンの最大控除額400万円は適用されず、最大200万円の控除になります。
法人税関係で注目すべきは、アベノミクスによる経済活性化を意識して盛り込まれた法人の設備投資や雇用促進に関する税制改正。「給与の増加額や雇用者数の増加による税額控除は、決算時期や入社日に関係してくるので、社労士さんとの連携を強化していきたい」とのことです。商業・サービス業や農林水産業を含む中小企業の設備投資には、商工会議所や認定経営革新等支援機関による法人の経営改善等の指導や助言を受ければ、特別控除が受けられるそうです。
資産税は全体に増税傾向です。平成27年1月1日以降、相続税の基礎控除が引き下げられ、最高税率が上がります。生命保険の非課税枠の廃止案も出されていましたが、こちらは見送りとなりました。相続税の「第2の基礎控除」といわれている小規模宅地等の特例は、適用対象面積が拡大され、使い勝手が良くなりますので、「不動産を活用した相続対策、節税対策が広まると思われる」とのことです。
木村さま、限られた時間のなかで、わかりやすいご講演をありがとうございました。参加者からは、「改正が決まったものと、まだ“案”であるものが把握でき、今後注目していくべき点がわかった」「税に関するさまざまな事例が紹介され、参考になった」などのご感想が寄せられています。
第2部交流会は、同じく麹町会館にて、木村氏によるご挨拶と乾杯で始まり、名刺交換や歓談、交流などが活発に行われました。また、メンター会員で相続支援隊メンバーでもある税理士・経営コンサルタントの喜多村洋子氏と、同じくメンター会員で相続支援隊メンバーでもある不動産コンサルタントの伊藤英昭氏は、相続支援隊のPR用のはっぴを着用。5月に開催する相続支援隊のセミナーのご紹介をいただきました。さらに伊藤氏には、5月のメンタージャム東京で講師をご担当いただきますので、講演について一言ご挨拶をいただきました。喜多村さま、伊藤さま、ご登壇をありがとうございました。
(左)喜多村洋子氏 (右)伊藤英昭氏
次回4月10日(水)開催の「メンタージャム東京」は、~天才クリエイターが作り出した驚異の世界~「天空に瞬く500万個の星々を眺めながら Spring Party in プラネタリウムBAR」と題し、春の特別企画を開催いたします。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
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