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【メンタージャム東京のご報告】
2013年1月 『士業事務所が実行すべきドラッカー経営戦略』~講師 和田 一男 氏
1月22日(火)、東京・麹町会館にて、「メンタージャム東京」を開催いたしました。今回は、株式会社プレインパートナー 代表取締役の和田一男氏(メンター会員)を講師にお迎えし、~超・実践的! 伸びる・続く・勝てる組織のつくり方~「士業事務所が実行すべきドラッカー経営戦略」と題してご講演いただきました。
■和田 一男 氏のご講演より
和田 一男 氏
ご講演の7割は和田氏の近著「小さな会社こそが実行すべきドラッカー経営戦略」をベースにし、多くの事例や著書には書けなかったことを紹介しながらお話しいただきました。
◆顧客の創造
いまや経営者にとって合言葉とも言える「顧客の創造」。顧客の欲求を満足させることです。和田氏は、一般企業だけではなく非営利団体や病院、学校、士業にも共通するというドラッカー経営理論について実践例を紹介しながら説明してくださいました。
まず、静岡県浜松市のハウスメーカーである都田建設。家を売るのではなく、お客さまの将来をイメージした生活価値を提案しています。お客さまが感動してくださった数を重視し、週に1回、社員はサービス提供内容を共有します。どうやったら感動してもらえるか、お客さまにとっての価値は何なのかを考えているそうです。
また、料理教室を全国展開しているABCクッキングスタジオの例も紹介されました。従来の料理教室は花嫁修業の一環の習い事でした。ABCクッキングスタジオは、楽しく、小人数制で、優秀な講師と一緒に日常の料理が作れることや、冷蔵庫にある食材を使う料理だから自宅で再現しやすいなどの新たな価値によって、OLに人気が定着。そして、新しい市場として独身男性や子どもにも着目。独身男性は女性と一緒に、子どもは母親と一緒に楽しく料理できるという価値があります。
顧客対象を変え、その顧客にとっての価値は何かと考えてみることで、新しい市場や事業を展開。カフェやマッサージ店、広告代理店、老人ホームの現在の顧客層と価値、新しい顧客層と価値を考える例も紹介いただきました。
◆経営戦略の基本
かつて、弁護士や司法書士などの士業は、資格を持っているというだけでよかったのですが、今はそれだけでは差別化することは難しく、なにか新機軸を打ち出す必要があります。それがイノベーションです。
和田氏は、「イノベーションを、発明や新技術と捉えるとリスクが多すぎる。新しいしくみや用途、業務プロセスの新しい組み合わせと考えれば、変革が起こりやすい」と言います。イノベーション成功の秘訣は「単純かつ具体的なものに的を絞る」「小さくスタートする」。そして注意すべきは「多角化、散漫になってはらない」こと。イノベーションを起こすための注目すべき機会も説明いただきました。
また、イノベーションを生み出した成功事例も紹介されました。本格的なフランス料理を立ち飲み形式で激安で味わえる「俺のフレンチ」。フランス料理はワインを飲みながら2~3時間かけてゆっくり食事するもの、という常識を打ち破った結果、顧客回転数は4回転。店の前には1時間以上の待ち行列ができるそうです。
売っている商品は同じでも、用途や市場を変えることで勝ち組になった例は「オフィスグリコ」。少子化により縮小するお菓子の市場を懸念し、路上の野菜売りをヒントに考えられたサービスです。しかし、お菓子を職場に置くためのハードルは高く、企業の総務部への売り込みは難航。そこで「職場のリラックスタイムを応援」「従業員のリフレッシュメントや夕方の栄養補給」などのコンセプトを説明し、ようやく受け入れられたそうです。今やオフィスグリコは定着し、顧客層は女性よりも男性が上回り、そして3.11の大震災後は非常時の常備食という新たな使命も生まれているそうです。
◆知識のマネジメント今回の講演の参加者は9割が士業。和田氏は、著書には書いていない持論と前置きしながら、知識のマネジメントについてお話しくださいました。
インターネットで検索すると、簡単にさまざまな知識を手に入れることができる時代。専門家は、どの領域に集中すべきでしょうか。
まず、「一般知識、つまり正解のある知識をいかに安く顧客に提供できるかが大切」だそうです。具体的には次のように説明されました。
- 一般知識を分解し、体系的に組み立て直して標準化する。
そうすれば、資格者ではない一般社員が答えられるようになり、生産性が向上する。 - 標準化が難しい属人的な知識は、単純化する。
そうすれば、アウトソーシングが可能になるし、その知識を社員が習得すれば多能工化され少数精鋭体制が確立できる。 - 経験による暗黙知に頼らざるを得ないグレーな領域は、事例を研究して判断基準を明確化し、共有する。
そうすれば、判断力を身に付けていくことができる。
このような知識マネジメントの例として、40人の弁護士とパラリーガル100人で構成される弁護士事務所や、20人の公認会計士と一般社員80人の会計事務所があげられました。パラリーガルや一般社員は、体系化された資格者のノウハウや知識から答えを探す作業をし、その内容を資格者が最終的にチェックするいう業務プロセスで、効率化を図っています。まるで工場の生産プロセス改善のように、知的労働の生産性を向上させているのです。
和田氏は、「専門家は顧客との密着性を高め、一般知識よりも高度な“知恵”に集中することが重要。“知恵”とは、お客の事情に対して柔軟に答えること」とし、「専門家はソーシャルネットワークなどを利用して一流の個人同士で結び付き、高度で複雑な課題解決に集中することが重要」と、今後の士業のあり方を強調されました。
和田さま、限られた時間のなかで、すばらしいご講演をありがとうございました。参加者からは、「とても聴きごたえのある講演だった」「難しい部分もあったが、たいへん勉強になった」「あらためてドラッカーを読み直したくなった」などのご感想が寄せられています。
第2部交流会は、同じく麹町会館にて、和田氏によるご挨拶と乾杯で始まり、名刺交換や歓談、交流などが活発に行われました。また、次回2月のメンタージャム東京で講師をご担当いただく、社会保険労務士でメンター会員の古澤和哉氏と、3月のメンタージャム東京で講師をご担当いただく、税理士でメンター会員の木村祐司氏に一言ご挨拶をいただきました。古澤さま、木村さま、ご登壇をありがとうございました。
次回2月14日(木)開催の「メンタージャム東京」は、~久々の大型改正! 4月1日施行、迫る~「労働契約法・高齢法・派遣法 直前対策セミナー」と題し、講師として古澤社会保険労務士事務所 社会保険労務士/人材・組織・教育コンサルタントの古澤和哉氏をお招きいたします。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
2013年2月14日(木)開催「メンタージャム東京」のご案内
~久々の大型改正! 4月1日施行、迫る~
「労働契約法・高齢法・派遣法 直前対策セミナー」
■お問い合わせ・ご参加お申し込み先:
株式会社コンサルティングファーム メンタージャム事務局
TEL: 03-5212-7272 FAX: 03-5212-6090
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