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【メンタージャム東京のご報告】
2012年6月 『今から押さえておきたい新相続税のキーポイント』~講師 喜多村洋子氏
6月14日(木)、東京・麹町会館にて、「メンタージャム東京」を開催いたしました。今回は、喜多村税務会計事務所 税理士・経営コンサルタントの喜多村洋子氏(メンター会員)を講師にお招きし、~相続に関わる士業・専門家のための実務セミナー~『今から押さえておきたい新相続税のキーポイント』と題してご講演いただきました。
■喜多村 洋子 氏のご講演より
喜多村 洋子 氏
ご講演は、喜多村氏の自己紹介に続き、講演の流れのご説明から始まりました。平成27年1月1日からの施行が予想される新相続税。講演では、基礎的な説明よりも、事例を中心にして実務的に何をしていかなければならないかが説明されました。
◆知っておきたい贈与税・相続税のポイント
贈与税は相続税の補完税と言われており、相続税との関係が深い税金です。
生前贈与を受けた場合に一定の税率で贈与税を納付し、贈与者が亡くなったときに相続税で精算する「相続時精算課税」という制度があります。贈与者の年齢は65歳以上の親であり、贈与の対象は20歳以上の子供ですが、新相続税では、年齢は60歳以上に改正され、対象には孫も加えられる予定です。
たとえば、死亡する10年前に土地を贈与されていた場合、相続時精算課税は10年前の土地評価額をもとに精算します。喜多村氏は「将来的に評価が上がると予想される土地や株のようなものに相続時精算課税を使うとメリットがある」とし、「相続税対策を目的とするなら長期的に考えた生前贈与が必要」と説明されました。
新相続税による増税でもっとも影響が大きいのは、基礎控除が4割縮小されることですが、このほかに納税資金・代償金支払資金として便利な、死亡保険金の非課税限度の改正も影響が大きいようです。夫婦と子供2人の世帯で父親が死亡し保険金が支払われた場合、現在は妻と子供2人の各々に無条件で500万円が非課税になります。新相続税では制限が加わり、父親から独立し別居している子供には500万円の非課税は適用されなくなります。
また、平成22年改正の影響も説明されました。小規模宅地等の相続税の課税特例の見直しについてです。判断基準が厳格化され、申告期限まで相続人がその土地を保有し続けかつ事業や居住を継続しなければ、軽減税率80%または50%の適用を受けられないそうです。
そして、贈与税の特例として知っておきたい非課税制度も説明されました。婚姻20年以上の夫婦間の贈与の配偶者控除と住宅取得等資金の贈与の特例措置拡充です。どちらも、相続開始前の3年以内に贈与を受けても相続財産に加算されないという特例で、知っておきたい便利な制度です。
◆相続税を検討するには、相続人の関係を明確に
相続問題は複雑です。お客さまから贈与・相続税の相談を受けるとき、喜多村氏はまず家族構成から尋ねるそうです。今回の講演でも、ある家族の家系図とともに血縁関係や年齢、性別、資産状況などが明らかにされ、事例の検討が始まりました。
検討事例の1つ目は、老人ホームに入居中の被相続人が死亡した場合です。自宅に対して小規模宅地の相続税の80%の減額特例が適用されるかどうか、また配偶者が支払っていた老人ホームへの入居一時金が返還された場合は配偶者の財産になるのかどうか、さらに今後自宅を売却するとしたら、あるいは別居していた子供が戻って来て自宅を二世帯住宅にリフォームするとしたら考えるべき対策は何か、などさまざまな観点で検討されました。
検討事例の2つ目は、名義預金等の問題です。専業主婦だった妻の預貯金が多額である場合、長年にわたって家計をやりくりした成果であっても、元々夫の収入であり、相続財産の一部になります。子供や孫の名義で預金した場合も同様で、相続税は名義に関わらず実態により課税されます。また、被相続人が赤字会社の株主であり、その会社に貸付をしている場合の相続対策についても、ポイントが説明されました。
引き続き行われた質疑応答では、名義預金や生命保険の活用、110万円の生前贈与の仕方、相続財産に宝石などの物品が含まれる場合の価格の算定に関する質問がありました。みなさまの興味の高さが感じられる、終始活気に満ちた講演となりました。
喜多村さま、限られた時間のなかで、すばらしいご講演を本当にありがとうございました。参加者からは、「事例や構成が論理的でたいへんわかりやすかった」「短い時間の中で要点を絞り、重要な改正事項が的確にまとめてあって、とてもよかった」「今までに参加した講演・研修の中で三本の指に入る」などのご感想が寄せられています。
第2部交流会は、同じく麹町会館にて、喜多村氏によるご挨拶と乾杯により始まり、名刺交換や歓談、交流などが活発に行われました。
次回7月11日(水)開催の「メンタージャム東京」は、~リスク管理から業務効率・モチベーションUPまで使える~『士業事務所のための就業規則の作成ポイント』と題し、講師として藤本人事労務事務所 社会保険労務士の藤本雅久氏(メンター会員)をお招きいたします。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
2012年7月11日(水)開催「メンタージャム東京」のご案内
~リスク管理から業務効率・モチベーションUPまで使える~
『士業事務所のための就業規則の作成ポイント』
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