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【メンタージャム東京のご報告】
2011年5月MJ緊急企画 『今、私たちにできること 東日本大震災における法務対応』~講師 鈴木龍介氏
5月12日(木)、東京・麹町会館にて、東日本大震災を受けて「メンタージャム緊急企画」を開催いたしました。講師には、司法書士法人鈴木事務所 代表社員 司法書士・行政書士の鈴木龍介氏(メンター会員)をお迎えし、『今、私たちにできること 東日本大震災における法務対応』と題してご講演いただきました。
■鈴木 龍介 氏のご講演より
鈴木 龍介 氏
最初に鈴木氏は、今回のセミナーの趣旨を明示してくださいました。
1.何かしなければいけないというスピリッツを支える、後押しする
2.何をすればよいか アクションのヒントを提供する
3.非常時における法務の知識を整理する
の3点です。今回の震災やこれからも起こり得る非常時に、自分は何ができるのかを考えて行動できるように、とのことです。3月の震災後、鈴木氏は自分ができる復興支援は何かと考えている時、出版会社の依頼があり、「Q&A東日本大震災登記実務」(商事法務)を1週間で執筆されたそうです。鈴木氏の「思い」は書籍の「はしがき」にも載っています。なお、当書籍は4月末に発行され、今回のセミナーでは、ご参加のみなさまへ配布いたしました。
次に、プロフェッションとしてのあり方へ、お話は進みました。意義と役割、提供できるもの、団体と個、という観点から説明いただきました。専門家が社会から期待されていることを踏まえて、どのようにあるべきかを再確認する内容でした。また、鈴木氏は「ボランティア」に対する考え方も披露してくださいました。サービスを受ける側のために行うのは当然ですが、行為は自分のためでもあることと肯定されています。
続いて、法務対応のアウトラインについて解説いただきました。法律は平常時を前提に作られているため、非常時には憲法への抵触が発生するようなこともあるそうです。緊急措置として、復興基本法や政省令や通達がありますが、過去の非常時の法律などを知っておくことも必要とのお話です。
鈴木氏は非常時における法務対応の問題を“人”“日(スケジュールや期限)”“物”に分けて、それぞれが持つポイントや、具体的な事例を交えて解説してくださいました。個別の論点としては、契約、金融(融資、返済)、人事労務、破綻(倒産、破産)などをあげられました。
また、お話は非常時のBCP(事業継続計画/ビジネスコンティニュイティ・プラン)や対応マニュアルなどにも及びました。災害後、会社状況の明暗はBCPやマニュアルの有無により、分かれる場合もあるとのこと。中小企業でも、自然災害やテロ、インフルエンザなどの対策を作る需要は増加していて、プロフェッションの関与する余地も大きいとのお考えです。
鈴木氏はお客さまと日ごろのコミュニケーションを大事にされているそうです。特にプロフェッションとしての情報を伝えるために有用な「世間話」は、有意義な関係作りには欠かせないとおっしゃっていました。今回の震災によって、専門化が企業へお伝えすべき情報もいっそう増えることでしょう。
最後は、アクションにおけるポイントをお話しいただきました。「支援の対象」については、直接の被災者か間接の被災者か、個人か法人か、問題は現在起こっていることかこれから起こることかなど、広く長期的な観点で対象を考えるとよいそうです。「情報の収集と提供」では正確性とスピード、方法が重要点です。続いては被災地士業合同事務所や民間支援ファンドなどを例に、「既成概念からの脱却」というご提案もありました。
そして鈴木氏は、実行したことは社会に認知されるべきとお話しになりました。認知をきっかけとして、新しいネットワークの構築や、ひいては支援の輪が広がるとのことです。ご自身も書籍を出されたことで、新たな人間関係が結ばれることを体験されたそうです。
質疑応答も活発でした。ご参加の方から対応に苦慮されている事例なども出されて、震災による影響の広さ、大きさをあらためて感じる場面もありました。
鈴木さま、すばらしいご講演をありがとうございました。弊社でこのセミナーを開催できましたこと、多くのみなさまにご参加いただけましたことに深く感謝を申し上げます。
今回ご参加のみなさまからいただきました参加費につきましては、会場費と書籍代を除きました136,095円を東日本大震災の義援金として「日本赤十字社」へ寄付させていただきます。
なお、鈴木さまには講演料を無料でお引き受けいただきました。また、会場となりましたルポール麹町さまには主旨にご賛同いただき、料金につきまして特別のご配慮を賜りました。
みなさまのご協力に重ねてお礼申し上げます。誠にありがとうございました。
※2011年6月2日に136,095円を東日本大震災の義援金として「日本赤十字社」に
振り込みをいたしました。