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【メンタージャム大阪のご報告】
2011年6月 『遺言をめぐる相続トラブルと対応策』~講師 松村安之氏
コンサルティングファーム関西支局では、6月22日(水)に「メンタージャム大阪」を開催いたしました。
今回は、「~相続・遺言に関心のある士業・専門家向け~『遺言をめぐる相続トラブルと対応策』」と題して、メンター会員で弁護士の松村安之氏を講師にお迎えしました。
■松村 安之 氏のご講演より
松村 安之 氏
松村氏は、まず今年2月に出された遺言の解釈に関する最高裁判決からご講演をスタートされました。
この事案は被相続人Aが財産を子供である相続人Bに相続させるという遺言を残したのですが、Bが先に死亡してしまったことが発端となっています。当初はBの子供たち(被相続人の孫)が代襲相続するという形を取ったようですが、被相続人にはB以外にCという子供がいたために、Cから訴えが起こされました。CはBの死亡により遺言の効力はなくなったとし、Bの子供たちに対し、法定相続分に当たる不動産の2分の1の権利の確認を求めていました。
第一審(東京地裁)ではCの請求が棄却され「代襲相続」が認められましたが、第二審(東京高裁)では「代襲相続」は認められないという逆の判断がされました。判決ではまず「対象となった相続人が遺言者の死亡以前に死亡していた場合、その遺言は効力を生じない」。ただ、このような場合であっても、遺言者が代襲相続に関する意志を示していれば、代襲相続は可能との判断を示しました。
一審、二審で全く違った判断がなされたわけですから最高裁がどのような結論を出すのか注目された事案でしたが、「代襲相続は認められない」との判決が出されました。孫たちの上告が棄却され、Cの勝訴が確定。「名宛人(B)が先に死亡した場合、その子(Bの子)に遺産相続させるとの意思が遺言者(A)にあったという特段の事情がない限り、遺言の効力は生じないと解するのが相当だ」ということです。
遺言をめぐるトラブルでは、「遺言の方式」「遺言者の能力」そして、今回のように「遺言の解釈」がポイントになるということを、最初にお話しいただきました。
「遺言の方式」では、「公正証書遺言」に関して、多めに時間を割いていただきました。そのなかで驚いたのは、公正証書遺言を作成するに際しては「2.遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること」「3.公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること」(民法第969条)という定めになっていますが、実はこれが忠実に実行されていないケースが決して少なくないという点でした。
そして、この「口授」がどこまで正しくなされていたかが、公正証書遺言の正当性を争う場合のポイントになることが多いとのことです。公証人に依頼して公正証書遺言を作っておけば、後々トラブルになることが少ないという印象を持っていましたので、参加者からも驚きと多くの質問が出されました。
松村氏のご講演はこの後も「遺言能力」「遺言の解釈」「遺言の撤回」と続き、実際に関わってこられた事例なども交えて、わかりやくご説明いただきました。質疑応答では参加された弁護士の方から出された事例に関して、全員で議論を深めるという場面もありました。
松村さま、お忙しいなか、講師をお引き受けいただきありがとうございました。
交流会は、居酒屋に場所を移して開催しました。講演会の参加者全員が交流会にも参加され、遺言だけに留まらず相続など関連するテーマに話題を広げて、活発な意見交換が行われました。
ご参加くださいましたみなさま、お忙しいなか、誠にありがとうございました。
次回7月21日(木)開催の「メンタージャム大阪」は~メンタージャム大阪 西川教授の熱血教室~『士業のための組織開発コンサルティング講座』と題し、講師として甲南大学EBA高等教育研究所 教授 西川耕平氏(メンター会員)をお招きします。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
2011年7月開催「メンタージャム大阪」のご案内
~メンタージャム大阪 西川教授の熱血教室~
『士業のための組織開発コンサルティング講座』
■お問い合わせ・ご参加お申し込み先:
株式会社コンサルティングファーム 担当:中村
TEL: 03-5212-7272 FAX: 03-5212-6090
Eメール:info@cyber-mentor.org